[顧客インタビュー] 株式会社北辰 代表取締役社長 萬本浩也様

空間と食の融合をテーマに外食事業を営む株式会社北辰では、「仕入最適化プログラム」を(株)産業育成研究所(以下、産業育成)に依頼しています。代表取締役社長 萬本浩也氏にその経緯と産業育成への評価について詳しく伺いました。


どんな事業の会社ですか?

本業はオリジナル建材と天然素材壁紙メーカーです。天然素材壁紙ではナンバーワンシェアを持っていますが、今後の住宅着工件数の見通しなども考え、数年前に新事業として、空間と食の融合をテーマに外食事業を始めました。現在は大阪の谷町九丁目に180坪のカフェレストランと、難波に300坪の炭火焼レストランを経営しています。
将来を見越した戦略的な新規事業として意気揚々と飲食事業に取り組んだわけですが、当初からうまくいかず頭を痛めていました。毎月事業部の試算表は連続赤字の垂れ流しだったのです。

多店舗展開でパワー分散、不採算店舗を閉じるも好転せず。

飲食を始めたきっかけと、赤字の原因は何だったのですか?

素人であった飲食事業に取り組んだ直接のきっかけは、産業再生機構で飲食業種の再生を担当していた人材に出会ったことです。彼の当時所属していた会社から谷町九丁目の黒字飲食店舗を営業譲渡してもらうところから始まりました。
すぐに本人が移籍してくる予定だったのですが、残務整理などで1年間移籍が予定より遅れました。その間、担当役員が、自治体から依頼され賃料が安いからという理由で小規模店舗を次々と開店しましたが、店の戦略も管理も何もできていないうちに戦力が分散することになりました。
しかし、事業部長が入社してからも彼の説得力ある対策説明には何度も同意し、部長も現場も努力していたはずなのですが、連続赤字は止まることはありませんでした。小規模店舗は全て閉鎖するという荒療治もしましたが、連続赤字は止まりませんでした。

産業育成にはどんなきっかけで相談されるようになったのですか?

取引のあった大手証券会社からの紹介です。当時取引銀行との取引について、疑問も不満もあったため、産業育成に相談して、取引銀行構成をすべて見直し、金利や月次返済等を合理化するところから着手していただきました。現在の銀行構成は全て産業育成の紹介とコーディネートです。

では、飲食の仕入の相談ではなかったのですね。

そうです。資金繰りと銀行取引の合理化でした。本業の工場を新規拡張移転する時まで無借金経営をしていました。それが、飲食事業部をスタートさせてから、極めて円滑だった資金繰りが怪しくなりはじめました。徐々に出血ダメージが蓄積され、借入が肥大化しました。銀行との返済負荷問題もそこから来たものであり、産業育成には、同時に飲食事業の改善対策の相談もしました。
しかし、当時は、事業部制を敷いて、事業部長が入社しましたので、何度も産業育成に相談し、飲食関係幹部で会議や面談をしましたが、事業部長判断で独自改善を進める方向としました。

体制を変えて「仕入」改善に取り組んだが、赤字は3年間毎月続いた。

飲食事業の改善で、特に目についたのは仕入でしたか?

やはり、経費シェアが一番高いので、金額的にも目につきます。産業育成が言うように、仕入と人件費と借入返済の金額が大きく、その3つが特に目につきました。

仕入について事業部長の改善策は出されていたのですか?

事業部で経理担当者を置いて、管理することとなりましたが、記帳しているだけで管理には至らず、仕入が適正化されることもないまま、経理担当者が退職します。
次に、マクドナルドで経費管理をやっていた人材を事業部長が引っ張ってきましたが、ほとんど何もしないまま短期で離職となりました。
そして、スタッフの意見を聞きながら進める方針から部長のトップダウン型改善に体制を変えることで仕入をコントロールするということになりましたが、結局数字はその間3年ほどほとんど変わらず、毎月赤字を続けてしまったのです。

背水の陣で決めた「仕入最適化プログラム」の導入

産業育成の「仕入最適化プログラム」については知っていましたか?

最初に聞いていました。元々金融機関の取引先に限定して提供されていたプログラムだと聞いています。私としては製造業の社長なので、特に原価管理が甘いというのは理解ができませんでした。すぐにでも導入したいと、事業部長と何度も話しましたが、そのたびに、先ほどのべたような別の方法を提案され、私の「仕入最適化プログラム」導入の意思は事業部長にせき止められた形となりました。

その状況から、どのようにして仕入最適化プログラムを導入することとなったのですか?

何度も事業部長の対策を聞かされてきましたが、結果がでないので、これ以上放置すると本業にも影響が及ぶと判断し、事業部長は感情的にも抵抗しましたが、社長の強権発動で「仕入最適化プログラム」を導入することに決めました。

導入翌月から月次試算表が黒字化した。

導入されてどうでしたか?

翌月から著しく仕入が適正化され、仕入金額が下がりました。これまで3年にわたって事業部月次連続赤字であったものが、導入翌月から月次試算表が黒字化したのです。正直、これまでの遅々として進まなかった改善スピードから考えて、失礼ながら大変簡単なものに見えた「仕入最適化プログラム」に、ここまでのドラスティックな即効性があるとは考えていませんでした。
さらに仕入発注のムダ排除について改善が進んでいるので、見通しでは年間で1000万円程度資金がセーブできると思います。飲食事業取組の最初から社長として導入命令をしていれば、資金状況は全く違うものになっていたと自分の判断を反省しています。

店舗グローブ カフェ
前年売上高対仕入率37.2% 
12ヶ月で37.2% ⇒ 30.8% (6.4%削減)

店舗オルケスタ
前年売上高対仕入率42.6% 
12ヶ月で42.6% ⇒ 34.0% (8.6%削減)

導入には準備や教育が大変ではなかったですか?

いくつかの約束事を周知して、これといった準備を必要とせずにすぐにスタートできました。もちろん計数データを産業育成に渡していたので、導入に当たっては隠れた準備は大変だったのだろうと思います。その代り、現場の私たちは、特段何か手間がかかることはありませんでした。むしろ拍子抜けするくらい簡単なもので、本当に、こんな「ちょっとしたコロンブスの卵のような対策」で成果が出るのか?と感じるほどでした。スムーズに導入できたからこそ、導入翌月から大きな成果が出たのだと思います。

今となっては分かる「これまで現場対策が効かなかった理由」

これまでの現場の対策が成果を上げられなかった理由は何だとお考えですか?

まず、飲食事業部の発注仕入について、完全に担当者の裁量権となっており、ブラックボックスになっていたことです。客観的な改善ができる状態にはありませんでした。
大口の仕入先には社長の私も担当取締役も面談させてもらえませんでした。今から思えばブロックされていたようにも思います。
執行役員事業部長は、あろうことか「仕入最適化プログラム」で管理が始まると同時に、モチベーションがなくなりました。仕入が著しく適正化したことで月次決算は黒字化し、資金繰りも円滑になりましたので、事業部長としてはモチベーションがアップし事業推進に没頭してもらうべき状況だと思います。しかし、現実は正反対でした。その落差や経緯を考えると、思いたくはありませんが、業者と癒着のようなものがあった可能性があると思わざるを得ません。それを穏便に解決できたのだとしたらとても有り難い成果だと思います。

今後の取り組みについて

「仕入最適化プログラム」導入以降に産業育成から次の提案などはありましたか?

以前から言われていたことですが、発注手段と方法の適正化と、伝票の取り扱いフローの標準化、個別メニューの企画原価算出と、その販売数量から予測される目標仕入率を明確化することなどです。他に、シェアの大きな賃料は当初よりアドバイスがあり、低く抑えられています。今後は水道光熱費の対策を相談することになっています。

産業育成のアドバイスは管理面、コスト面からだけのアドバイスですか?

いえ、元々産業育成は金融機関の融資先をトータルで支援する仕事をされてきましたので、集客と売上に関することも同様にアドバイスを受けて進めています。メニュー構成や、地域商業店舗との連携、イベント企画や店づくり、リピーター定着化施策、店舗スタッフ教育などまで幅広い助言や紹介を受けています。

幅広い助言は、「仕入最適化プログラム」の費用の範囲内でサービスとして行ってくれるのですか?

アドバイス程度であればサービスで行ってくれます。しかし、本格的にサポートをしてもらいたかったので別途顧問契約を交わして別途費用を支払って依頼しています。

産業育成への評価

最後にお聞きします。産業育成とおつきあいされて、どんな感想をお持ちですか?

頭を痛めていた飲食部門での「仕入最適化プログラム」はとても簡単に取り組めて大きな成果が出ましたが、本業のオリジナル建材と天然素材壁紙メーカーの方面でも、海外展開やマーケティング、決算方針など、オールラウンドの実務的引き出しを持っておられます。社長は、国や自治体の仕事もされているので、政策動向にも精通されておられ、今後の事業戦略や経営計画を考える際のナビゲーションを受けています。
私のように社長という立場では、安易に重要な課題を人に相談できません。私どもは産業育成がパートナーのようにいてくれるので、何でも疑問や不安に思ったことが出てきたら、聞いて相談します。彼らは一緒に考えてくれ、場合によっては豊富な人脈から人を紹介してくださったり、想定を超えた答えを返してくれる会社です。

何より、スタッフの皆さんが家族のようなスタンスで私どもにも接してくださいます。問題を抱える私どもの気持ちに入り込んで、無理強いはせず、わかるまで丁寧に説明してくださいます。私どものペースを見定めて、急き立てるようなこともされません。 クライアント本位を徹底されていて、親身になってくださるところが驚きました。コンサルタントと言うと、もっとクールで机上の空論を語られる先生のイメージがあったからです。
大手の証券会社が関連会社の総研を紹介せずに、この会社を私どもに紹介してくれた訳がよく理解できます。産業育成には、専門家の偉い先生のイメージはありません。一緒に戦ってくれるプロジェクトメンバーそのものです。

貴重なお時間をありがとうございました。