脆弱なビジネスモデルと、比較的安定度の高いビジネスモデルについて

2016.11.17 キャッシュフロー改善

金融機関の融資審査において、企業を審査する視点を議論するとき、必ず出てくるテーマがこのテーマです。

比較的脆弱なビジネスモデルについては「プロジェクト型」と呼んでいます。ビルを建てる、コンピューターのシステムを製作する、金型を製作するなどの「プロジェクト」を受注しているビジネスモデルです。これは、ムダなリソースの準備(仕入など)をしなくてもよいので、受注が順調なときは効率的なものです。しかしひとたび受注が順調でなくなると、固定費を血を流して削らざるを得ず、それを断行したらしたで、受注キャパが縮小してしまって、新しい受注を以前のように消化できなくなるという悪循環に入ります。その上、固定資産が薄い企業は、さらにキャッシュフローを捻出する方法がなく、窮境に陥ります。

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比較的安定度の高いビジネスモデルについては「オペレーション型」と呼んでいます。日々の仕入があり、日々の生産計画や来店客に製造や販売を行っている「オペレーション」を行うビジネスモデルです。これは、受注、客数が低下しても、持ちこたえる余力が多々あります。裏返すと、隠れたムダやロスが多方面に出てきてしまいがちなものです。オペレーション型は基本的に設備等の固定資産が一定以上あり、遊休資産の売却などでキャッシュフローを捻出できる余地が比較的あります。

ムダは出にくく儲かりやすいが安定度に不安のある「プロジェクト型」と、ムダは出やすく儲けが比較的薄いが安定度にすぐれている「オペレーション型」をうまくミックスした企業作りを目指すことで、それぞれのイイトコ取りができるようになります。

(株式会社産業育成研究所 キャッシュフロー改善の専門チーム)