間接法キャッシュフロー計算が信用できない理由

2016.08.26 キャッシュフロー改善

銀行が融資審査で使用している、企業の「儲け」=返済余力を見る指標にEBITDA(税引後当期利益+減価償却費)があります。余りに粗雑で事実と誤差が大きく、こんなものを経営実務の意思決定に使っていは失敗を招くばかりです。逆にずる賢い経営者なら、それを逆手に取った決算方針で銀行から引っ張れるだけ資金を引っ張るでしょう。

 

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そのあぶなっかしい、EBITDAの元になるのが「一般的な間接法CF計算」です。

税引後利益を機軸として、以下を加減して算出します。(こんなものは、わからなくて構いません。ただ書いておきます。)

・減価償却費やのれん償却費などの非資金損益項目
・投資活動や財務活動に含まれる損益項目
・営業損益計算の対象となる取引における債権債務の調整
・売掛金の調整
・棚卸資産、買掛金の調整

機軸としている「税引後利益」自体がキャッシュフローではありません。そもそもおかしな計算式なのです。CF項目でないものから、決算方針や仕訳次第で数字を変更できる勘定科目を、正確だと仮定して加減するのですから、正しい答えになるはずもありません。

「しっかりした間接法CF計算」では、ただ一つとしての事実としてあるはずのCFに誤差が減ります。それは決算書全体から算出する方法です。

しかし、それでも「直接法キャッシュフロー計算」には精度は遠く及びません。

「直接法CF」は、「資金繰り表」から作成します。「資金繰り表」を作成している会社であれば簡単に自分で正確なCFを計算できるので、わざわざ誤差の大きな指標をありがたがる必要はありません。

(株式会社産業育成研究所 キャッシュフロー改善の専門チーム)